皆さんは3月30日にNHKで放送された「機動戦士 誕生秘話」を見ましたか?私は録画で見ました。感想としては…
ガンダムは当時としては斬新なアニメだったんだな~
ということがよくわかりました。今では普通になった内向的な主人公も「宇宙戦艦ヤマト」や「ボルテスV」などが人気だった時代ではとても珍しいものだったんですね~。
というわけで、今回は私が「機動戦士ガンダム 誕生秘話」を見た感想を書いていきます。(一回しか見ていないので、内容が若干間違っていても大目に見ていただければ幸いですorz)
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※4月6日(土)にNHK総合テレビにて「機動戦士ガンダム 誕生秘話」の再放送が決まったそうです。まだ見ていない方はぜひどうぞ。
4月6日(土)→15:05~
■斬新な設定
最近では「新世紀エヴァンゲリオン」の碇シンジが内向的な主人公として有名ですが、ガンダムの主人公のアムロ・レイも考えてみると内向的な主人公なんですよね。
初登場時には家で機械いじりをしていました。碇シンジと違うところは、あそこまで人付き合いが下手じゃなかったことでしょうか。
アムロ・レイが登場するまでの主人公は「俺が何とかしてやるぜっ!」系のオラオラ主人公が主流だったそうです。富野監督はそういった主流とは別のものを作りたかったらしく、ガンダムに当時としては斬新な設定をたくさん盛り込みました。
具体的にいうと下記のものが斬新な設定に当たると思われます。
①内向的な主人公アムロ・レイ
②兵器としてのロボット
③人間関係や成長に焦点を当てた十五少年漂流記的な物語
④敵は宇宙人ではなく同じ人間
敵を倒して動揺したり、人間関係がこじれて家出したり、主人公以外もガンダムに乗れたり…今見ても考えさせられる設定や描写が多いんですよね。
■今までのロボットものとは違うファン層を取り込んだ
放送当時、ガンダムの塗り絵やおもちゃが発売されましたが売れ行きはいまいちでした。なぜなら…
小さい子供たちへの受けは悪く、子供向けのグッズは売れませんでした。
視聴率も4%と低く、安彦さんいわく「5時半だからとれるわけがない」とスタッフ一同思っていたそうです。
ただ、ここからがガンダムの面白いところでして、小さい子供は取り込めませんでしたが、中~大学生や女性を取り込むことに成功しました。
ロボット同士のドンパチよりも、人間ドラマや各キャラクターの成長に魅力を感じた層が、根強いファンとしてガンダムを支えてくれる形となったのです。
初代ガンダムはアムロの成長やホワイトベースでの人間関係、ジオン側の事情やシャアの存在など人間関係や戦争の内面を濃く描こうとしていますからね。ロボットドンパチが主流だった時代の子供には理解しづらいものがあったのでしょう。
■ファンレター
小さな子供に人気がなくておもちゃが売れない…。そうなると富野監督は上層部やおもちゃ会社に怒られるわけで…。
もちろんスタッフも誇りを持ってガンダムを作っていたわけでして…作品が評価されないことに憤りを感じることも多々あったそうです。
そんなときにどこから元気をもらっていたのかというと…ファンレターだったそうで。そう考えると、今もガンダムが続いているのは当時のファンのおかげでもあるんだな~と感慨深く感じました。
ちなみにファンレターの1/3は女性から来ており、その女性たちはホワイトベースの家族論に強く興味を示していたらしいです。
■打ち切り
ガンダムは当初全52話から全43話に短縮(打ち切り)されたのは有名な話ですよね。ファンも「なんでじゃーーっ!」と憤ったそうです。もちろんスタッフも憤ったと思っていたのですが………
実はホッとしたそうですw
現場は忙しさでかなり疲弊していたため、正直助かったそうです。今まで打ち切りは無念な気持ちで終わるものかと勝手に思っていましたが、場合によっては喜ぶこともあるんだな~ということがわかりました。製作現場の過酷さを物語っていますよね。
それに、後半は作画監督の安彦さんが胸膜炎で入院してしまい製作がまずいことになっていたらしく、渡りに船の打ち切りだったそうです。入院中の安彦さんは、あまりの出来の悪さに布団で顔を隠してながら本放送後半をみていたそうな…。
■映画化
放送当時は打ち切りになるほど視聴率が取れなかったガンダム。しかし、根強いファンの獲得には成功。ファンの要望を元にバンダイからガンプラが発売されました。
本放送の視聴率は低めだったのに再放送もすぐ始まり、その勢いで映画化まで決まるというアニメ界のサクセスストーリーw
中途半端な出来で終わったガンダムを再度作り直せるという夢のような話。胸膜炎で無念の離脱だった安彦さんにとっては特にありがたかった話だそうです。
番組内で「映画化は富野監督が戦って勝ち取った」という表現が出てきます。まさに、周りの注文に振り回されても、自分の作品の根幹を貫き通してファンを獲得した富野監督の勝利でしょう。
ロボットドンパチという主流に隠れた潜在的なニーズ…ロボットと人間ドラマを融合という形を見事に掘り当てた感じがしますよね。
このニーズを理解していた人たちはほかにもいたかもしれません…。でも、そのニーズを満たすために動くのはすごい苦難を抱えるのと同義なわけで…。そんな苦難を乗り越えてガンダムという作品を作った冨野監督はやっぱりすごいんだなと思います。
■まとめ
今回の「機動戦士ガンダム 誕生秘話」は興味深い話がたくさんあって面白かったです。
特に、落ち込んだ富野監督やスタッフがファンレターから元気をもらっていたことにはグッときましたね。テレビで見る富野監督は変わった行動や言動をすることもありますが、根はまじめで他人思いなんだろうな~と思うことができました。
安彦さんが入院していたときに、必ず週に1回お見舞いに行っていたそうですしね。
そんな一生懸命なスタッフが集まり、さまざまな苦労を経て作られたガンダムという作品。今も続いていることは一ファンとしてとてもうれしく思います。これからも応援していきたいと思います。
【追記】
今見ても劇場版の初代ガンダムは面白く感じます。登場人物の行動に説得力を感じさせてくれるんですよね。「あ~、こんな状況に置かれたらこんな行動する可能性あるよな~」としっかり納得させてくれる描写の細かさといいますか…。
絵の古さで敬遠してしまうのはもったいない作品なので、見たことない人はぜひ見てもらいたいです。
そして初代ガンダムの後に「逆襲のシャア」を見ると、アムロとシャアの年齢の重ね方に感じ入るものがありますので、そちらも併せてチェックしてもらいたいです。